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3-9 HIV抗体検査の受検のときに経験したこと

HIV抗体検査受検時に、ゲイ・バイセクシュアル男性は適切な健康支援を得ることが出来ているのでしょうか。検査業務に関わる医師や保健師の多くが、男性受検者は異性愛者であり、セックスの相手は女性に違いないという先入観を持ち、女性とのセックスを前提にして話を進めてしまうことがあります。そういった状況では、ゲイ・バイセクシュアル男性は本当のことを話すことなく検査が終わってしまうばかりか、男性同性間のHIVや性感染症の予防に関する適切な情報を提供されないまま、検査機会を終えてしまうことになります。HIV抗体検査時に経験したことに関する自由記述によれば、「彼女がいるかどうか」「風俗に行ったことがあるかどうか」といった会話を医療者からされている現状があることが垣間見ることが出来ますO。ゲイ・バイセクシュアル男性にとって受検しやすい検査環境を整備するために、HIV抗体検査に従事する者を対象とした、セクシュアリティへの正しい理解や支援スキル習得を目的とした研修を実施することも、今後必要な施策のひとつであると考えられます。

ゲイ・バイセクシュアル男性が検査・相談場面で体験したこと
−保健師や医師による対応の実情―

  • 「あなた真面目そうな顔して経験多いのね」と女性の医師や看護師に言われたことがある。こいつらには、絶対俺たちの気持ちは理解できないと感じ、何も話す必要はないと思った。
  • 保健師から「ボーナス出た時期だから風俗でも行ってうつされたんでしょ?」と言われた。
  • 「検査に来る人は、心あたりがある人が大半」という言われ方をしたのですが、彼氏と一緒に受けている人は将来を考えての検査を受けているわけで、遊びほうけているみたいな見方をされるのは心外だと思いました。
  • 「あなたはゲイでよろしいですか?」とゲイであることが前提とされた質問をされて驚いた。
  • 「またゲイかよー」という感じで保健師の対応がすごく悪かった。ゲイエリアのすぐそばの保健所だったのに。
  • ゲイであることで完全にバカにされた。軽蔑された。
  • 20回目の検査の時に回数の多さに驚かれてしまったようで、さらに「ハッテン場(「そういう」ところという表現をされた)ばっかり行っていたら・・・」みたいなことを言われた。そんなの百も承知なんだけれど。それ以降、検査に行っていない。
  • ゲイであることを告げると、「あなたハイリスクだわ」とあきれ果てながら言われ、「ハッテン場にも行くの?」と質問された。わずかに知っているゲイ関係の知識をもとに、ゲイのことを相当に危険と思っている態度だった。
  • 3度目の検査の時、「そんな遊びしちゃダメじゃない」と言われた。自分の健康の確認に来ているのに、私生活について言われたくないと思った。 それ以降、検査に行っていない。
  • HIV感染告知を受け、他の感染症もすごく忌まわしい表情で指摘され、本当に厄介者って感じの対応だった。さらにゲイであることを告げると、「納得した」 ような表情で接しられ、不快感を覚えた。
  • 結果を聞きに行ったらみんなと別室に案内され、しかも案内の人が急に電話をかけまくった。その上、担当の医師から「あんた死ぬよ」と脅された。
  • 「検査は税金なので、頻繁に何度も検査に来ないように」と言われた。
  • 電話受付の人に「いかがわしい行為をしてからどの位たってる?」と聞かれた。
  • 大声で他の職員に「この人HIVの検査しに来たんだって。○階の部屋だったよね?」と言われ、みんなにじろじろ見られた。
  • 廊下で座って順番を待っていたとき、検査室での会話が筒抜けで驚いた。告知を受けている人の名前が聞こえてしまった。
  • 「そういうこと」という言い方を何回もされた。何を指している言葉なのか、保健師の使う言葉が曖昧だった。
  • 他の人の検査結果が丸見えだった。友達と一緒に行ったので連番で、友達の結果も見えてしまった。
  • 最近、迅速検査が導入され始めました。僕はその検査で陽性かどうか判定保留と診断され、ろくな精神的サポートもされず検査機関を出ました。何を訴えたらいいかわからなかったからです。1週間後に正確な診断が出るとのことでした。その日の夜は不安で仕方なく迅速検査についてインターネットで調べても、十分な情報は得られませんでした。「迅速検査での判定保留は本当に陽性の可能性が非常に高い」という情報をインターネットで知って、僕の精神状態は自殺寸前!でした。1週間後、陰性であることがわかったけれど、精神的なサポート体制が何もなかった。迅速検査は即刻やめるべきである!
  • かなり説教じみた感じで10分程度話した後に検査を受けさせてもらえたが、「もうこんな検査受けないように努力しなさい」とまで言われた。言いたいことはわかったが、一方的すぎる気がしました。