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REACH Online 2013 調査結果のご報告

REACH Online 2013 では、これまでのアンケートで得られた知見をもとに、ゲイ・バイセクシュアル男性のための健康情報をお届けすることを目的とし、サイトを開設しました。ゲイ・バイセクシュアル男性向けのアプリにバナー広告を掲載し、参加者を募集いたしました。

2013年9月17日から11月30日までの約2ヶ月半の短い公開期間でしたが、1万人を超える方にアクセスをいただきました。

健康情報サイトをご覧いただいたことで、HIV予防に前向きな気持ちになった方や、HIV検査を受けてみようと感じた方もたくさんいらっしゃいました。

この度、みなさまにお答えいただいたミニアンケートの集計が終わりましたので、以下、ご報告いたします。これからもREACH Onlineをよろしくお願いします。

2014年8月

研究実施者

平成25年度厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策研究事業
「HIV感染予防対策の個別施策層を対象にしたインターネットによるモニタリング調査・認知行動理論による予防介入と多職種対人援助職による支援体制構築に関する研究」

研究代表者:日高 庸晴 (宝塚大学看護学部 教授)
研究分担者:嶋根 卓也 (国立精神・神経医療研究センター 室長)

1. ご参加いただいた方

REACH Online 2013では、3つの健康情報コンテンツ(セイファーセックス編、脱法ドラッグ編、HIV検査編)を公開しました。ご覧いただくコンテンツは、ユーザーが自由に選択でき、繰り返し何度でも閲覧できるようなシステムにしました。また、健康情報コンテンツをご覧いただくことで、健康に対する考えや態度にどのような変化が起きるのかを調べるために、コンテンツ閲覧前後にミニアンケートにお答えいただきました。

広告バナーの一例選べる健康情報コンテンツ

公開期間中に、計11,559名の方が事前アンケートにお答えくださり、さらに、8,295名の方が「セイファーセックス編」を、6,324名の方が「脱法ドラッグ編」を、4,990名の方が「HIV検査編」をご覧いただいた上で、事後アンケートにもご回答くださりました。

  • 参加者の平均年齢は31.2歳でした。20代の参加が最も多く全体の42.4%を占めていました。次いで30代(31.5%)、40代(16.8%)、10代(6.3%)と続きました。
  • 年齢層は、最年少16歳から最年長85歳まで幅広く分布していました。
  • 参加者は47都道府県に分布しており、日本全国からご参加いただきました。
  • 東京都(26.0%)が最も多く、東京都以外の関東地方(21.4%)、大阪府(9.9%)、大阪府以外の近畿地方(6.4%)と続きました。
  • 自認する性的指向としては男性同性愛(ゲイ)が最も多く、全体の83%を占めています。次いで、両性愛者(バイセクシュアル)13.9%という結果でした。

2. 事前アンケートの集計結果

健康情報コンテンツをご覧いただく前にお答えいただいた事前アンケートのうち、主な結果をご報告します。

1) HIV予防に対する気持ち

まず、「HIV予防を心がけようと思いますか?」と問いかけたところ、「そう思う」と回答した方は全体の91.0%でした。ほとんどの方がHIV予防に取り組む気持ちがあることがうかがわれます。年代によるバラツキは見られず、どの年齢層もHIV予防に対しては積極的に考えていることがうかがわれます。

2)コンドーム使用を促す効果的な台詞

次に、「セックスの相手にコンドームの使用を促す効果的な台詞を思いつきますか?」とお聞きしました。「思いつく」と回答した方は全体の65.8%、「思いつかない」と回答した方が全体の28.5%でした。半数以上の方は、コンドーム使用を促すための自分なりのスキルをすでに見つけていることがうかがわれます。

しかし、年代別でみると、「思いつかない」という回答は、特に10代(38.5%)で高い傾向がみられました。「セイファーセックス編」のコンテンツの中では、コンドーム使用を促すための様々なヒントをご紹介しました。

3) 脱法ドラッグについて

近年、テレビや新聞の報道で目にすることの多い脱法ドラッグですが、「脱法ドラッグについてどのくらい知っていますか?」という問いに対しては、「ほとんど知らない」という方が33.2%と最も多く、「どちらかと言えば知らない」28.8%、「どちらかと言えば知っている」26.8%、「よく知っている」10.5%と続きました。

年代別でみると、「ほとんど知らない」という回答は、特に10代(46.1%)で高い傾向がみられました。

4) 薬物問題で困っている人との接し方

「薬物問題で困っている人との接し方にどの程度の自信がありますか?」という問いに対しては、「どちらかと言えば自信がない」という方が45.7%と最も多く、「ほとんど自信がない」26.4%、「どちらかと言えば自信がある」20.9%、「とても自信がある」6.1%と続きました。

年代別でみると、「ほとんど自信がない」という回答は、特に10代(29.5%)や、20代(29.8%)で高い傾向がみられました。

5) 薬物問題に対する相談機関・自助グループ

精神保健福祉センターでの薬物相談を知っていたのは全体の17.5%、ナルコティクスアノニマス(NA)を知っていたのは全体の18.4%でした。コンテンツの中では、全国の精神保健福祉センターで無料の薬物相談が受けられることや、セクシュアルマイノリティ向けの自助グループが活動していることをご紹介しました。



6) HIV検査について

「今後、HIV検査を受けようと考えていますか?」とお聞きしたところ、「いつかは受ける」という方が39.1%と最も多く、「今後6ヶ月以内に受ける」31.2%、「今後1ヶ月以内に受ける」12.6%、「受ける意志なし」8.3%、「HIV陽性であることが確認済み」7.6%と続きました。

年代別でみると、HIV検査を「受ける意志はない」という回答は、特に10代(16.6%)や、50代以上(11.8%)で高い傾向がみられました。コンテンツの中では、検査に行く人・行かない人の本音に迫ったり、HIV検査や相談窓口の情報をご紹介しました。

3. コンテンツ閲覧前後の変化

健康情報サイトをご覧いただいたことで、HIV予防に前向きな気持ちになった方や、HIV検査を受けてみようと感じた方もたくさんいらっしゃいました。いくつかの結果をご紹介いたします。

 

HIV予防を心がけようとは思わなかった方の55.6%が、コンテンツ閲覧後に「思う」に変化しました。

効果的な台詞が思いつかなかった方の55.5%が、コンテンツ閲覧後には「思いつく」に変化しました。

精神保健福祉センターでの薬物相談をご存知ない方の47.4%が、コンテンツ閲覧後に「知っている」に変化しました。

HIV検査を受ける意志はないと答えた方の44.7%が、コンテンツ閲覧後に「受ける意志あり」に変化しました。

4. ご意見やご感想

今回もさまざまなご意見やご感想をいただき、ありがとうございました。一部ではございますが、ご紹介させていただきます。なお、個人特定を避けるため、また用語や文体を統一するため、一部修正してありますので、ご了承ください。

セイファーセックス編

  • 分かりやすくて、実際に経験したシチュエーションでの挿し絵だったので非常に共感できました。
  • イラストや表がたくさんあって分かりやすく、退屈しないでちゃんと読めました!知らないこともあったのでもっと知識をつけないといけないなと思いました。
  • 割となぁなぁになってしまうゴム使用について、とても重要な事だと改めて思う事が出来ました。また、可愛いイラストも添えてあるので、文章だけでは伝わりにくい所もイラストでしっかりカバーして誰でも理解出来るようになっていて素晴らしいと思います。
  • まだ行動へ移せない時もありますが、確実に自分の内面は変化しアナルセックスの時にゴムのことが直ぐに頭に浮かぶようになりました。
  • ゴムは使った方がいいのはわかっていますが、時と場合により用意してないこともあり生でやるときもしばしば。自分さえよければいいって考えは、パートナーにもそのほかの誰かにも影響していくってのを、忘れずにいたいです。
  • HIVやAIDSのちょっとした知識は、元からありました。だから、ゴムを着けないセックスの怖さも知っていたつもりです。しかし、いざその時になってみると相手は歳上で ゴムを着けてと言って嫌われたらどうしよう、生が普通と相手は思っていたので言うのはおかしいことなのかなと思った、などの理由でなかなかゴムをつけてセックスすることはありませんでした。まだ、まわりのことが分からず、この世界はそれ(生ですること)が普通なのかなとさえ思っていました。明確な教科書もなく、近くに聞ける人もなく、間違った情報・片寄った情報に惑わされやすい世界だと思います。自分はこのページを見て、ゴムを着けてもらってセックスをするにはどうしたらいいのかの沢山のみんなの例を見て、これは使えるなと思いました。こういった情報を、いや情報というか身近の声を見られるのは素晴らしいなと思いました。
  • ためになる話ばかりで、体験談なども聞けてよかったです。もっと色んな話が聞けたらイイなと思いました。
  • 意識の持ち方がすごく大事だと思います。甘い誘惑や快楽だけのセックスに心が動くのは、好奇心ということもあるが、やはり生は危険とか、絶対ダメという意識をもつことが大事だと思う。HIVに感染してしまった今だからこそ、すごく実感します。でも、現状まわりでたくさんの生派がいるから、とても悲しい。
  • 自分にない台詞があり参考になりました。これからもセーフにつとめます。
  • 知らないことばかりでした。彼氏以外の人としたことがありませんが、HIVのことは少し気になっていました。彼とも話したことがあります。今回の知識を彼に伝えて、よりよい2人のありかたを探して行きたいです。

脱法ドラッグ編

  • 脱法ドラッグについて知る機会が全くなかったため、今回知ることができてよかった。もし困っている人から相談を受けた場合に役に立てられればいいと思う
  • 脱法ドラッグに関するコンテンツはためになった。まだまだ自分の周りでは顕在化してない問題なので、かえってよかったかも。
  • 守秘義務を守ってもらえて相談できる場所があることを知りませんでした。ありがとうございます。
  • 心がおちこんだとき、そういう時に薬に逃げたくなるんだなと思ったし、でもそれに負けずに誰かに相談することでだいぶ楽になるはずと思った。
  • ここで言っても仕方ないと思いますが、ラッシュには常習性はなく、筋弛緩目的の方が役割は大きいと思うのですが、なぜ規制対象になったのか?不思議で仕方ありません。
  • ためになる試みだと思いますが、脱法ドラッグにはまっている人間がやめる決意をするにはやはり周囲の人間の協力が不可欠と思います。そういう物で得られる快感と自分の身体とどちらが大切か、気づかせてあげないといけないと思います。
  • とても解りやすい。薬物摂取者には叱責ではなく受容・共感が大切とのことを知りました。
  • ハーブ使わないとセックスしないって人もかなりいる。酒飲むのと感覚は変わらないのかも。酒もクスリもやらない俺には正直良くわからない。どうしたらいいのかもよくわからない。
  • 私もコレにハマり、HIVになりました。薬という性質上、本能が優先され、ナマになりがちですが、私はスッパリ薬から足を洗い、真っ当に生きています。薬なんかなくても、愛情があれば、薬なんていらないのでは?
  • 自分も患者の一人です。一人孤独に悩まされていました。でも、周りに迷惑をかけないためになんとしても薬から脱出したいし、その勇気をくれるお話だったと思いました。ありがとうございます。
  • 身近でも、ハーブの店を見かけることがある。自分に関係ないと思っていたが、その気になればすぐ手に入ってしまう環境におかれている。それがとても怖くて、自分から情報を得るのがためらわれたが、勇気をもってそういった知識に触れていかねばならないと感じた。
  • 生きづらくなってきてる今の時代どんどん、発信して欲しい
  • 薬物依存者には単にダメって言うのは良くないんですね。僕だったら言ってしまいそうです。まずは相手を理解することから始めるようにします。

HIV検査編

  • 仕事の忙しさと万が一陽性だったら…という不安のせいでしばらく検査に行っていませんでした。近いうちに行こうと思います。
  • 自分自身を見つめ直すいい機会をいただきました。ありがとうございました。
  • 実際、検査結果がどうなるか怖いです。でも、受ける必要はあると思います。
  • 定期に検査を受けております。現在の受け易い体制をさらに広めて頂きたい。
  • HIVに感染するような行為をしていないので、受診する予定はないです。
  • 近くの検査センターが簡単に調べられて良かった。
  • 最近検査していないので、しないとって動かされました。
  • 都市規模が小さいので、日程を合わせて他県の都市規模が大きい場所で検査をしているのが現状。地元だと身元が分かりやすいので(匿名で受けても、検査に行ったこと事態が見られるので)検査事態に行きにくいので。
  • 保健センターの対応が非常に良くなかったので、もう行きたくないと思いました。プライバシー保護と言いながら、誰かわからない役所職員と個室に二人になり、早く検査結果を私の前で開封してください、と言われた時は、プライバシーの配慮ではないと思いました。
  • 友達が月一度のペースで検査に行っているけど、そこの保健師さんからあんただけのための検査じゃないんだからと検査拒否するような発言があったそうです。だから、感染の心配がないと行ってはいけないものと思っていました。
  • とにかくわかりやすいし、自分以外の人がどう考えているのか、データで客観的に見て、考えることができました。ありがとうございます。
  • カッコカワイイイラストが情報を読み進める煩わしさを軽減していると感じました。楽しみながら、マジメな知識や情報を手に入れることができる。コンテンツの構成やバランスが優れていると思います。