わが国では1999年からゲイ・バイセクシュアル男性を対象にしたインターネットによる学術調査が隔年で実施されています。1999年には1,025人、2001年は388人(自由記述式回答による質的研究)、2003年は2,062人の研究参加が得られ、実施回数を重ねるごとに研究に参加してくださる方も増加しました。一連の研究により、ゲイ・バイセクシュアル男性のインターネット利用層におけるHIV感染予防行動や、いじめ被害、自殺未遂、メンタルヘルスの現状などについて、多層的な情報が明らかになってきています。
これまでにわが国で実施されたゲイ・バイセクシュアル男性対象の行動疫学調査によると、ゲイ男性のインターネット利用割合は他集団よりも比較的高いと推察されています。また、ゲイ男性を取り巻くインターネット環境は日々変化しており、新しい出会いや性的機会、ソーシャルネットワークサイトにおける人間関係の構築など、多種多様に活用されるようになってきています。インターネットの出現は、ゲイ・バイセクシュアル男性にとって必要な情報の獲得や出会いの機会を飛躍的に向上させたのみならず、インターネットによる学術調査の実施やそれをもとにした情報提供や健康教育の機会提供としても役立つようになってきました。
2005年に実施したインターネット調査では、質問項目の一部をこれまでに実施してきた調査と同一化することにより、経年比較が可能なようにしてあります。こういった方法を用いることによって、わが国のゲイ・バイセクシュアル男性のインターネット利用層におけるHIV感染予防行動やメンタルヘルスの実態等の動向把握を経年的に捉えることが可能となります。
2005年の調査では6,000人を超える方々が研究に参加してくださいました。多くの皆さんに研究に参加頂けたことを感謝申し上げます。
(REACHとはResearching Epidemiological Agenda for Community Healthの略です)
本研究は、平成17年度厚生労働省エイズ対策研究事業「男性同性間のHIV感染対策とその評価に関する研究 (主任研究者・市川誠一)」の一部として実施されました。研究プロトコールは名古屋市立大学看護学部倫理委員会による審査を受け、同委員会の指針のもとに研究を実施しました。
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このページにまとめられている内容は、ゲイ・バイセクシュアル男性のメンタルヘルスやHIV予防対策に役立てるという、本研究の目的と趣旨に賛同した研究参加者の率直な回答から得られた、貴重なデータに基づいています。そのため、この趣旨以外の目的でこれらのデータが利用されることは、研究参加者にとっても、私たち研究実施者にとっても大変不本意なことです。本ページの内容を無断で転載・転用・引用することはお控え下さい。この報告書がゲイ・バイセクシュアル男性への理解の促進と、差別や偏見の解消に少しでも寄与するとともに、今後のHIV感染予防対策のために活用されることを、研究実施者一同、心から願っています。引用等にあたっては問い合わせフォームをご利用の上、ご連絡ください。